「この役は世の中に疎いから面白いんだ。コメディで演じてみたい役だったよ。
正直いって自分はコメディ向きの役者じゃないからね。」とハートネットは言っ
た。「タイミングについては考えない。キャラクターがなぜその台詞を言うのか
、何をしているのかということに関わらない限りはね。全く異なったタイプのこ
とに挑戦したからちょっと考えなければならなかったけど、ピーター・セラーズ
のようなコメディに出られてよかったと思う。僕の役柄は自分のよさに全く気づ
いていないんだ。ただすごく面白い奴なんだよ。よくわからないけど、彼が間違
った場所で答えを見つけようとしていたり、間抜けなことをしたりするから、き
っと笑えるよ。楽しめると思う。」
ハートネットは、フォードをアイドルのように思っていたことを認めたが、一緒
に仕事をするにあたってはプロに徹しなければならなかった。この過程はリハー
サルから始まった。「1週間前くらいにリハーサルをして、そのときはまだ試作段
階だったけど、事件現場を見に行く映画の初めのシーンを撮影し始めた。ハリソ
ンができる限り僕の前を歩こうとしたり、僕がセリフを言うタイミングにかぶっ
てきたり、僕の出番はないみたいに思わせようとしているのにすぐ気がついた。
後で彼は僕をテストしようとしているんだとわかったんだ。効果はあった。僕は
道を見つけて方向を変えたよ。「これは何なんだ？ハリソン・フォードの動きが
読めない。それに自分の仕事ができない」と言ったら、監督のロンはただ「対処
を考えろ。彼に立ち向かわないと。彼は手ごわいぞ（big dog）」と言った。役柄
の上で彼は難しかった。だから僕はもしできてればだけど、それを面白おかしく
するような方法を見つけた。彼が何かするとそれを偶像化してみて、同じことを
したり彼を偶像視するんだ。そしておかしなことをしながら、いつも彼の近くに
いようとする。僕の役柄はちょっと変わってたから、それがうまくいったと思う」
「この映画は警察のアクションスリラーだから、怪我は避けられなかった。車の
事故もあったし、僕も何度か失敗したよ。いくつかすごいスタントをしたんだ。
ランジェリーショップから飛び降りたりね。25フィートくらいあったけど、柵の
ところに立ってたんだ。実際30フィートくらいの高さで大変だったよ。誰か他の
人がはしごから飛び降りたんだけど、それは僕はやらせてもらえなかった。なぜ
かというのは彼にそのとき起こったことを見てわかった。3フィート上のあたりに
あるはしごから彼がキオスクの上に着地するのを上空から撮影していて、「僕は
自分にもできる、問題ない」っていったんだけど、そのとき事故が起こったんだ
。彼は合い釘にぶつかって頭からひっくり返った。彼は少し動揺していたけど怪
我はなかった。その彼、マークはタフな男だったからね。こういうスタントをす
る人たちはクレイジーだよ。僕もビルから飛び降りたりとかいうことをやらなき
ゃいけなかったけどね。車の事故はスタントのドライバーが失敗したことのひと
つだったんだよ。ハリソンは今でも僕のせいにしてるけど違うよ。彼は効果を狙
ってそうしてるだけじゃないかと思うけど。あのシーンで僕はぶつかってはいな
いけど、転げ回るはめになった。僕はエンジンの回転数を上げて、彼は腕を外に
だして、使っていた長いレンズは比較的安全な距離をとっていた。それから僕は
ただ地面に崩れこんだんだ。まずかったのはねずみがたかってて嫌なにおいのす
る細い路地で撮影していたことだね。だからとにかく、ハリソンにあの事故が僕
の責任だなんて言わせちゃだめだよ。ロンか僕に聞いて。僕達2人だけが正直な人
間だから」
ハートネットの次の映画はそれより小規模のインディペンデント映画になる。現
在タイトルは「Obsessed」とされているが、ハートネットは「Wicker Park」に変
更されることを望んでいる。「今「Obsessed」と呼ばれているけど間違ってる。
「Wicker
Park」になる予定だよ。そのタイトルの方がいいよ、そう思わない？「Obsessed
」なんてTV映画のタイトルみたいに聞こえるし、たぶん前にLifetime（女性向き
の番組を放送しているチャンネル）でそういうのがあったんじゃないかな。全然
それが悪いわけじゃないけど、この映画には合ってない。僕が演じているのは、
傷心で2年間ほど別の場所に住んでいて、シカゴ、Wicker Parkに帰ってきた男な
んだ。婚約しているんだけど、ある女性を見かけるんだ。それは彼を傷つけた女
性で、それが本人かどうか彼は確信がもてなかったから、探そうとするんだよ。2
、3日かけてね。その2、3日に起こることを描いてる」
その映画は主に無名のキャストを起用している。ハートネットはそれが映画をよ
りいいものにしていると考えている。「主人公のフィアンセ役はジェシカ・パレ
で、ケベック州モントリオール出身のカナダ人の女優だよ。それから彼が心を奪
われる女性がダイアン・クルーガー。アメリカでまだ映画に出たことのない人を
起用したんだ。映画、特にこういうドラマを見たときに、スターが2人出ていて、
この2人が結ばれるんだなってわかるのって面白くないからね。実際そうやって結
ばれても、「ああ、よかった」っていうくらいだよね。だから、あまり知られて
いない人を選んだんだよ。ダイアン・クルーガーとオーストラリア出身のローズ
・バーン、それからジェシカ・パレ、みんな素晴らしいよ。マシュー・リラード
も出演していて、彼は初めてドラマチックな役柄を演じてる。彼も本当に素晴ら
しいし、ポール・マクギガン監督によってこれはすごくいい映画ができると思う
。僕がその（タイトルの）問題で何か言えるとしたら、「Wicker Park」になるよ
。そうなるように僕はキャンペーンし続けるよ。」