良い警官と悪い警官、どちらを演じる?
「それは日によるよ、どっちもありえるね。」
ハリソン・フォードの映画を見て育った?
「もちろんだよ。彼は僕のアイドルだった。そういうふうに思っている人と会っ
てびくびくしてしまうような感じを乗り越えるのは大変だよ。スクリーンでは彼
は父親役みたいだった。彼はいつもすごくクールに見えた。僕は彼のフィギュア
を持ってたんだ。ハン・ソロので、足は曲がらないんだけど、ミレニアム・ファ
ルコンに乗せてあって箱に入ってる。」
では、どうやってその気持ちに対処したの?
「プロに徹するだけだよ。やるべき仕事があるわけだし、それを自分に言い聞か
せるんだ。正直、ハリソンと知り合った2,3日後にはもう彼を畏怖する感じでは
なくなって、ただ怖かったね。」
ひどい役者を演じるのは面白かった?特にストリートカー(*欲望という名の電車)のシーンとか。
「楽しかったよ。ストリートカーのシーンは役にすごく合ってると思った。ブラ
ンドになることは、みんなが望むことだし、ここに来る若い役者はみんなやりた
いことだからね。すごく楽しかったし、この映画で僕が気に入っているシーンだ
よ。僕がちょっと芝居の指導もできたし、大げさにやったね。その水にはプラス
チックのボトルを使ったんだ。一緒に仕事をした他の俳優も素晴らしかった。」
いくつか大ヒット作に出演しているけど、小規模の映画と演技の面では異なる?
「する仕事は同じだよ。大作はもっと見せ方や、技術的な面を正確にすることに
焦点を当てているから、俳優はたいてい自分が小道具であるかのような気がして
しまう。僕にとって面白い映画はもっと人物重視のものだよ。この映画も人物を
中心としているけど、大規模なものだね。だから大作に関していうと、様々角度
でたくさん撮影したり、他にも様々なことをしなくちゃいけない。そのカテゴリ
ーでロン(・シェルトン)は素晴らしい監督だよ。彼は温和で、キャラクターや
進行をよく理解している。でもやっぱり大作だからそういう面でいうと大変だね
。」
この映画のためにヨガを始めたの?
「いや、大学のときヨガはやってたんだ。6ヶ月くらい毎日やってたけど、この
映画にでることを決めて、夢中になった。映画ではあまりたくさんはでてこない
けど、その役にとってよかった。彼はインストラクターでヨガに興味をもってい
る役だから、知識があってよかったと思う。それで、約7ヶ月間毎日欠かさず1
時間半練習したんだけど、ものすごく体調がよくなったよ。呼吸が楽になるんだ
。足を広げて全身がすっかり変化してしまう。肩幅が広くなって筋肉は長く細く
なる。変な感じだけど、考え方が変わるんだ。すごいことだよ。でも映画の撮影
が始まってから時間がなくなったし、また飲んだりタバコを吸ったりするように
なってしまったんだけどね。とにかくヨガは良かったと思う。またできればと思
ってるよ。毎日する時間があったらやり続けるよ、絶対にね。」
若者を代表して、どうしてスーパーヒーローになりたいと思わないの?
「僕はそういう若者じゃないよ。ただ自分に正直でいたい。もしほとんどの若者
がそうなりたいのなら、自分で俳優になってスーパーマンを演じればいいんだ。
」
まだ10代の役のオファーは来る?
「うーん、アイドル的存在みたいなのを演じ続けることもできるんだろうけど、
僕はそうはしないようにしてるからね。そういう役ばかり演じている人も多いし
、それはそれでいいと思うけど、僕はシリアスな役をやりたいんだ。そういうシ
リアスな役が似合う俳優になりたいと思ってる。自分はそういう人間だと思うし
、自分のキャリアもそれに合ったものにしていきたい。若くて女の子に人気があ
るからチケットが売れてるんだなんて思われてるうちは、残念ながら道のりは厳
しいね。でも全人類の半分を占める人(=女性)を否定したりするつもりはない
よ。女性が僕のしていることを気に入ってくれるのはすごくうれしいよ、ありが
とう。でもみんなもうわかってるんだ。つまり、それ(10代の役のオファー)
が送られてきても、エージェントは僕には送ってもこないよ。僕がやりたくない
って知ってるからね。」
一番変な場所でファンに会ってしまったときっていつ?
「結構最近なんだけど、METである人に台本をもらったんだ。ニューヨークのMET
だよ。僕はそこで座って彫刻作品をみていて、古代ギリシャの彫刻を見て歩いて
たら、その人は「やぁ、君に渡す台本があるんだ。僕はNYUに通ってたんだ」って
言うんだ。それで「そうなんだ」って言ったら、「そうなんだよ。僕らはいい友
達だね。ところで、この台本を君にあげたいんだけど。」って言うから、「あり
がとう、美術館楽しんで。」って受け取ったんだ。もらうべきものじゃなかった
し、その台本が読まれるはずの媒介もあったんだけど、もし僕が断ってたら大変
なことになってたよ。討論になって、その男はたぶん腹を立てただろうし、そん
な目立つようなことする意味がないからね。結構混んでる日だったし。彼は僕に
気づいたけど、僕は度の入ってない眼鏡をかけてて、速く歩いてた。居心地が悪
いし、うまくやっていくことが一番だと思うよ。」
あなたを駆り立てる(Drive=原動力になるもの)ものって何?
「どんな車に乗ってるかって?(笑)経験、知識、それから得られる限りの情報だ
ね。それと自分が差し出せる愛とサポートかな。ただ漠然としたものだけど。僕
の父親はこういうことに関しては素晴らしいんだ。小さなターバンを巻いたアフ
リカ人のおじいさんの絵を持ってたよ。彼のオフィスにずっとあるエチオピア人
の男の人の絵なんだ。その男にはしわがあってね、それが美しいんだよ。人生で
彼がよく笑ってたんだなってわかるんだ。あごにも素晴らしい白いひげがある。
「ああいう人になろうと思ってる。年を取ったときああいう風になりたいよ。自
分の人生を楽しみたいし、そういう人生を見たい」と父さんは前に言ってた。僕
は自分が年をとったときにどうなりたいか、経験しておきたいこと、それって基
本的には全部だけど、思い描くものはあるよ。いろんなことを知っておきたい。
まだ俳優でいるかなぁ。僕はハリソンを尊敬してる。すごく長いキャリアを持っ
ていて、その道のどの段階においても自分がやりたいことをしてきているから。
人々にどう思われようと、彼は自分でベストだと思うことをしてる。それはすご
いことだと思う。僕達は基本的に性格も違うから、僕は彼とは違う役を選ぶだろ
うけど、自分の意志を通すということに関しては本当に尊敬する人だよ。」
どうして俳優でい続けないかもと思うの?
「今すぐやめることは考えていないよ。僕は真の芸術家だなと思えるような監督
達と一緒に仕事ができる本当にいい機会にめぐり合えたし、今自分がしているこ
とを気に入ってる。素晴らしい仕事だよ。不利な点もあるけど、巻き込まれない
ようにしてるんだ。みんな名声は手放せるものではないと知ってる。そのうち消
えていくものかもしれないけど、手にしているときは、1日休みを取ったりでき
るものじゃない。何だか変な感じだけど、大変なことだよ。でもそれは自分が本
当にやりたいことをして、それでお金を得て、多くの人が心配しなきゃいけない
ようなお金のこと、請求書を払うこととかを心配する必要もない、旅行をして世
界をみることができる、そういうものと引き換えにするものだと思う。ああ、僕
は恵まれてるよね。すごいことだよ。」